LB培地とは
LBはLuria-Bertani、またはLysogeny Brothの略で、分子生物学で大腸菌を培養するのに最も広く使われている培地です。成分はわずか三つで、アミノ酸とペプチドを供給するトリプトン、ビタミンと増殖因子を供給する酵母エキス、浸透圧バランスを保つ塩化ナトリウムです。三つの標準版の違いは塩の量だけです。
LB Brothの処方(1 Lあたり)
| 成分 | LB Miller | LB Lennox | LB Luria |
|---|---|---|---|
| トリプトン | 10 g | 10 g | 10 g |
| 酵母エキス | 5 g | 5 g | 5 g |
| NaCl | 10 g | 5 g | 0.5 g |
| 合計(乾燥培地) | 25 g/L | 20 g/L | 15.5 g/L |
| 滅菌後のpH(25 °C) | 7.0 ± 0.2 | 7.0 ± 0.2 | 7.0 ± 0.2 |
- Miller:塩が最も多い汎用版で、日常的な大腸菌培養とプラスミド調製に使います。
- Lennox:塩が半量で、ブラストサイジンやゼオシンなど塩感受性の抗生物質を使う際に選びます。
- Luria:ほぼ無塩で、特殊な用途向けです。
LB Agarを作るには、三つのいずれかに寒天15 g/Lを加えます。
LB Brothの調製方法
- 乾燥LB Miller 25 gを秤量するか、トリプトン10 g、酵母エキス5 g、NaCl 10 gをそれぞれ秤量します。
- 脱イオン水約900 mLを加え、溶けるまで撹拌します。LBは加熱しなくても溶けます。
- 1 Lにメスアップします。pH調整は不要で、正しい処方であれば滅菌後に7.0付近に落ち着きます。調整が必要な場合は、1 N NaOHで7.0~7.5にします。
- ボトルの3分の2を超えないように分注し、キャップは緩めておきます。
- 121 °Cで15分間オートクレーブ(高圧蒸気滅菌)します。
- 使用前に室温まで冷まします。4 °Cの暗所で保存し、2週間以内に使い切ってください。
LB Agarの調製方法
- 乾燥LB 25 gと寒天15 g(または調製済みのLB Agar粉末40 g)を脱イオン水1 Lに加えます。
- 撹拌しながら沸騰するまで加熱し、寒天を完全に溶かします。溶け残りがあるとプレートが不均一になります。
- 121 °Cで15分間オートクレーブします。
- 抗生物質を加える前に50~55 °C(ボトルを手で持てる温度)まで冷まします。これより高温では抗生物質が失活します。
- プレート1枚あたり20~25 mLを注ぎ、固まるまでふたを少しずらしておき、その後4 °Cで裏返して保存します。
抗生物質を加えるタイミング
必ず滅菌後、培地が55 °C以下になってから加えます。抗生物質を培地と一緒にオートクレーブしてはいけません。代表的な使用濃度は、アンピシリン100 µg/mL、カナマイシン50 µg/mL、クロラムフェニコール25 µg/mL、テトラサイクリン10 µg/mL(遮光)です。
よくある質問
オートクレーブ後に培地が褐変した、または沈殿ができた。 多くは過剰な滅菌によるもので、糖とアミノ酸のメイラード反応が進んだか、硬水を使ったことが原因です。滅菌サイクルを短くし、脱イオン水を使ってください。オートクレーブ後に培地が褐変または混濁する場合の記事をご覧ください。
寒天が固まらなかった。 寒天が完全に溶けていなかったか、pHが低すぎたことが原因です。注ぐ前に、透明な溶液になるまで煮沸してください。寒天が固まらない場合の記事をご覧ください。
増殖が遅い。 まずMillerとLennoxのどちらを使っているかを確認し、次にトリプトンを確認します。由来の異なるトリプトンはアミノ酸プロファイルが異なるため、供給元を変える際は増殖曲線を比較してください。LB Broth Miller vs Lennoxの記事をご覧ください。
LBは酵母に使えますか 酵母も増殖しますが、YPDのほうが適しています。LBは細菌用に設計されており、酵母はより多くのグルコースを必要とします。
乾燥培地を買うか、自分で秤量するか
三つの成分を自分で秤量するのが最も安価ですが、秤量のたびに誤差が加わり、ロット間でばらつきが生じます。乾燥培地(粉末培地)はあらかじめ混合されており、水を加えるだけで使えるため、日常的な使用や共同利用の実験室に向いています。STBIO MEDIA(上鼎)は、LB Broth Miller、LB Broth Lennox、LB Agarに加え、自家調製用のトリプトンと酵母エキスを供給しています。規格と包装サイズは各製品ページをご覧ください。
